科学の教室D 地球温暖化とエネルギーについて
 
   〜特別授業〜
 
 2012年7月23日(月) 午後2時〜4時30分  峰山高校コンピュータ室
 
 21世紀の人類の最大の課題の一つである「地球温暖化」。そして地球温暖化と密接にかかわっているのが「エネルギー」。エネルギー利用に伴う二酸化炭素排出を削減することと、あらゆる分野で省エネルギーを進めることが地球温暖化にブレーキをかけるために必要です。今回の特別授業では地球温暖化とエネルギーについての理解をより深めることを目標に、実習・実験を中心に学習を進めました。
 
 Part1(14:00〜14:50) ”日本の気温は本当に上昇しているか?”
  気象庁ホームページでは日本各地の気象観測所の過去の観測記録が全て閲覧できます。地球全体が温暖化している事を確かめるのは容易ではありませんが、私たちが住む日本列島の温暖化については国内のいくつかの地点の過去の気象データを調べれば分かるかもしれません。そこで参加者で手分けして日本各地の都市の過去100年間の年平均気温を調べグラフ化しました。
 
 Part2 (15:00〜15:50) ”過去の気候変動と地球の気候システム”
  過去の温暖な気候や寒冷な気候の証拠を元に、地球の気候(温度)が激しく変化している事を確かめ、ビデオ映像などを使って気候変動や気候システムについて学習しました。大気中の二酸化炭素濃度は大気の温度を決める最も重要な要因ですが、二酸化炭素濃度だけで決まっているわけではありません。太陽の活動、地球の公転軌道や地軸の傾き、地表の7割を占める海、高緯度地域に広がる氷床、大陸の植生など様々な要因が関係しています。Part2では南極の氷床コアから明らかになった気温と二酸化炭素濃度の変化を元に、過去数十万年間の地球の気候変動について学習しました。
 
 Part3 (16:00〜16:30) ”エネルギーに関する5つの実験”(本校理科教諭による実験コーナー)
  地球温暖化にブレーキをかけるためにできる事の一つが、二酸化炭素の排出を減らすことと様々な省エネ技術の開発と省エネの普及です。Part3では、発電や照明器具、新しい省エネ技術の原理や特徴などを、簡単な実験装置を使って学習しました。本校の4人の理科教諭が5つの実験コーナーを分担し、生徒達は実験装置に手を触れながら5つの実験を楽しみました。
   @火力・水力・風力で電気を作る  A照明器具とエネルギー効率(白熱電球・蛍光灯・LED)
   B太陽電池で電気を作る(ソーラーカー)  C燃料電池で電気を作る(燃料電池車)  D省エネガラスの実験
 
 
 
 
 まずはインターネットで気象庁のホームページにアクセス。そこで過去の気象データがどのように閲覧できるかを一通り見た後で、国内の主な気象観測所のある都市を自分で選び、過去100年間の年平均気温を調べ、集計用のグラフ用紙に赤丸のシールを貼ってグラフ化しました。    生徒が作成した過去100年間の年平均気温のグラフ。上が長野県長野市、下が愛媛県松山市。過去100年間でどちらも1〜2℃くらいの上昇を確認できます。また気温上昇率が近年(グラフの右半分)大きくなっている事にも気がつきます。
     
 
  生徒たちが調べたのは北から、北海道江差市、長野県長野市、岐阜県高山市、島根県浜田市、愛媛県松山市、沖縄県与那国島、そして南極昭和基地。南極昭和基地を除く全ての地点で、年平均気温の明らかな上昇を確認することができました。     机の上に並んでいるのは、氷河期の大陸氷床、海生貝の化石が出る弥栄町黒部の地図、南極の氷の分析から明らかになった過去数十万年の気温と大気中の二酸化炭素濃度のグラフ。地球の気候がどのように変化してきたかを学習しています。
     
 
 NHKが制作した”地球大紀行G氷河期襲来”のビデオを鑑賞しています。スクリーンに映っているのはニューヨークのセントラルパークにある迷子石。氷河によって数千kmも離れた所から運ばれてきて取り残された石です。氷河期にはニューヨークが氷河に覆われていた証拠です。    モーターに取り付けた羽を回転させることによって発電し、LEDを点灯させたり音を鳴らす実験です。息を吹きかけて羽を回せば風力発電、ガスコンロで水を沸騰させ発生する蒸気で羽を回せば火力発電です。実験は不可能ですが核燃料で水を沸騰させ羽根を回せば原子力発電になります。
     
 
 先生が手に持っている3つの照明装置は、左から白熱電球、蛍光灯、そしてLED。それぞれの照明装置の明るさと消費電力、発熱量や発生する光の特徴について学んでいます。    太陽電池を積んだソーラーカーに光を当てて走らせています。光源を白熱電球、蛍光灯、LEDと代えて実験をすることで、光の波長と太陽電池の発電効率について考えました。
     
 
 燃料電池で発電して車を走らせる実験。最初に車に積まれている水を乾電池を使って電気分解し、発生する水素と酸素を別々の容器に蓄えます。次に触媒を使って水素と酸素を反応させると水ができますが、その時に電気が発生しモーターを回転させ車が走ります。    断熱ガラスの実験をしています。断熱性能を普通のガラスと比較することで、断熱ガラスが熱を通しにくい事が分かります。断熱ガラスを使うことで、室内の冷暖房に使うエネルギーを減らすことができます。
     
 
 
  参加者の感想:
 
  温暖化とCOの問題は騒がれてきたが、確かに最近は放射能の問題が話題になりすぎていて少し忘れがちであった。しかし温暖化も現在進行形で起きている事なので真剣に考えなくてはならない。温暖化が進むと雨が多くなり空気中のCOが雨に溶け、結果的にバランスがとれることがあったり、何が正解かよくわからないのですが、自分の正しいと思う行動に出ようと思います。(3年生)
   
   日本各地の1900年からの年ごとの気温を調べると、やはり気温が上昇している事がわかりました。でも約10万年ごとに気温の上昇は起こっていて、その後は寒冷化していくそうですが、今回は二酸化炭素量がとても多いのでどうなるかは分からないそうです。もしかしたら今までにないような気候の変化が起こるかもしれないので不安です。真空ガラスは暖かく涼しく騒音も防ぐという素晴らしいガラスである事を知りました。学校にあったらいいなと思いますが高いので無理そうです。火力発電を簡単にした実験を見る事ができて楽しかったです。(1年生)
  気象庁が各都市で気温の変化を観測している事すら知らなかったのでとてもよい勉強になりました。原子力発電や火力発電のしくみ、燃料電池のしくみなどいろいろなことを知ることができました。これからの生活ではなるべくエコな生活をすることを心がけなければいけないと思うので、ガラスを二重のものにしたり、電気をできるだけ使わないようにするなどしていきたいです。少人数だったので質問もしやすく、とても楽しく学ぶことができました。(1年生)